早いものでもう12回の連載が終わりました。
最後の記事になります。『病は気から...未病対策は5つの「しこう」から』です。
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=103574
ご愛読ありがとうございました。
未病という言葉はあまり聞きなれないと思います。健康志向が高い人でも、時々耳にするぐらいです。専門家も人によって使っている意味合いが異なることもありますが、日本未病システム学会では、下図のように「自覚症状はないが検査では異常がある状態」と「自覚症状はあるが検査では異常がない状態」を合わせて「未病」としています。
そして「病気」とは2つが重なった部分である「自覚症状もあるが検査でも異常がある状態」としています。
日本未病システム学会ホームページ(
http://www.mibyou.gr.jp/mibyotowa.htm)より
「血圧が高値であるが、治療が必要でない状態」や「胸が痛いが、いろいろな検査をしても異常が見つからない状態」などが当てはまります。
このような状態で、気持ちがふさぎ込み、生活習慣が悪い方向に向かってしまって病気になったりすることもあり、昔の人は「病は気から」といっていました。
それでは、病気にならないように、この「未病」の状態を改善するにはどうすればよいでしょうか?
そこで私が提案したいのは、いろいろと「しこう」をして、当たり前に思っていた生活習慣を見直してみましょうということです。
思考:現在感じている異常や、生じている異常値が、今の自分の生活のどのような習慣から出ているかを、考えてみましょう。そして、その習慣を続けている自分の原動力となっている価値観・考え方をじっくり考えてみましょう。
往々にして、両親がやっていたことを何気なく、踏襲していることも少なくありません。
ステーキを食べる場合を考えてみましょう。塩やコショウをたっぷりかけたり、ソースをたっぷりかけたりして食べる方も少なくないと思います。
試考:違う観点からその習慣を考え直してみましょう。
岡山県以外ではほとんど食べることができない日本最古の蔓牛(つるぎゅう)で和牛のルーツといわれる千屋牛(ちやぎゅう)のステーキをごちそうしてもらえる場面を想定してみましょう。「一生で二度と口にすることができないかもしれない」と思うと、小さく切って、ごくわずかな塩やこしょうで味を調え、場合によっては塩コショウさえ使わないで、ソースを付けずにまずは食べてみよう、という気持ちになりませんか?
そのものの素材の味を味わってみようと考えてみてください。
試行:その違う観点から考えたことを試しにやってみましょう。
ただ単に焼いただけの薄切りをじっくり味わってかみしめ、少しずつ塩・コショウをかけてみて、その上に、ソースを少しつけ、さらに付けてみてなどと、いろいろな味付けを試してみてください。この素材の肉と自分の舌の味わい方にとってどの味付けがよいかを探してみましょう。
施行:やってみて良さそうなことを実際の生活の中に取り入れましょう。
当然肉によって、どの味付けがよいかは変わってきます。焼き方によっても違うでしょう。高い素材を買ったときには、どうやったら味が引き立てられるかを考えてみる価値は十分あると思いませんか? その方法を日々の生活の中に取り入れてみましょう。
硬くて味がしないステーキを数回食べるよりは、高価な美味(おい)しいステーキ肉を1回、より味わって食べている自分を想像するだけではなく、実践してみませんか?
食べたつもりの気持ちで食費をためる箱を作れば、4回分の我慢で、4倍高価なものが食べることができます。
嗜好(しこう):その行動を、自分の『「こだわり』」、『「趣味』」にまで昇華してみましょう。
その行動を繰りかえし行い、自分にとって一番贅沢(ぜいたく)な食事の仕方だと繰り返し、自分に言い聞かせましょう。
習慣化してしまえば、努力も、我慢も、頑張りもいらなくなります。