かかりつけ医におけるCKDの診療 安田隆教授
2014-05-01 19:42
川村内科診療所
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2014年4月24日 崎陽軒本店
演題「かかりつけ医におけるCKDの診療 〜K-CKDIの結果を踏まえて〜」
演者:聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 腎臓・高血圧内科部長 安田隆先生
内容及び補足「
慢性腎臓病Chronic kidney disease:CKDの定義は
?尿異常,画像診断,血液,病理で腎障害の存在が明らか.特に 0.15 g/gCr 以上の蛋白尿(30 mg/gCr 以上のア
  ルブミン尿)の存在が重要
?GFR<60 mL/分/1.73 m
?  ?のいずれか,または両方が 3 カ月以上持続する
ことである。
CKDの有無で予後は異なるが、

そのCKDも腎機能により異なる。

尿蛋白の程度により異なることや

アルブミン尿の量程度により、予後が異なることが判明し

45のコホート研究の集計でも証明された。


以上のような経過から2012年CKDのガイドラインも下記のように変更となった。


試験紙でタンパク尿を見た場合、A1(0.15 g/gCr未満)、A2(0.15-0.49 g/gCr)、A3(0.50g/gCr
定性検査の尿蛋白正常、1+、2+には、アルブミン尿/Crの30未満、30-299、300?/gCrに対応し、尿蛋白/Crの0.15未満、0.15-0.49、0.50g/gCrに対応する。
「かかりつけ医」に何らかの慢性疾患で一年以上通院歴のある非糖尿病患者におけるCKD実態調査(K-CKDI)を実施した。
7480症例を108施設からいただき、解析対象となった症例は6607例(女性:男性=56.2%:43.8%、平均年齢70.1±11.0歳:66.5±12.7歳、全体で68.2±11.9歳、中央値70歳)であった。
基礎疾患の内訳は、高血圧59.0%、脂質異常症24.9%、消化器系疾患16.3%、高尿酸血症・痛風が10.7%であったが、腎疾患患者として記載があった症例は2.6%と予想以上に少なかった。
血圧130.7/75.5mmHg、Cr 0.73、eGFR 71.6、尿蛋白陽性頻度7.7%、尿アルブミン陽性頻度24.8%とタンパク尿とアルブミン尿の陽性頻度の差が大きかった。
試験紙でタンパク尿を見た場合、A1(0.15 g/gCr未満)、A2(0.15-0.49 g/gCr)、A3(0.50g/gCr以上)の場合、陰性率はそれぞれ、79.2%、19.7%、1.1%ととA1で偽陰性の率が高かった。全体としては偽陰性率20.8%、偽陽性率23.4%であった。
尿潜血は、女性で27.7%、男性で15.7%陽性であった。
CKDの頻度は43.4%(腎疾患としての登録は2.6%)
加齢とともにCKDの頻度は増加し、各年齢層で男性のほうが多かった。
CKDの多くはG3aであり、アルブミン尿を有さないCKDは40%存在した。
CKDへの寄与を解析すると、加齢、肥満、尿潜血が寄与し、負の寄与因子としてアルコール摂取が挙がった。多変量解析では、年齢、性別、肥満、尿潜血、高血圧、動脈硬化性疾患の併存が寄与し、アルコール摂取は負の寄与因子として挙がった。
2005年から2035年までに高齢者人口が増加するとして、上位から横浜市、札幌市、名古屋市、福岡市となっており、CKDの管理が重要となってくる。
特に頻度が多いG3aの管理が重要である。タンパク尿が0.5g/gCr以上の症例においてはACE阻害薬やアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)でしっかりと降圧する必要がある。


タンパク尿がない場合には、緩徐に140/90mmHg 未満をめざし、タンパク尿の合併がある場合には130/80mmHg未満を目標とする。高齢者のCKD患者においては降圧薬は半分量から始めることが望ましい。
可能であれば一日一回の処方で、確実な服用をめざし、治療開始後短期間で副作用のチェックを行うことが望ましい。
健康で長生きをするためには、規則的な生活をし、適切な栄養摂取を心がけ、運動の継続が必要である。
平均寿命と健康寿命の間には10年ほどの隔たりがある。

今後若年人口の減少とともに高齢者人口の急激な増加が出現してくる。

全国の要介護の原因を年齢別に見ると、前期高齢者では、「脳血管疾患」の割合が40.0%、次いで「認知症」が8.1%、「関節疾患」が7.6%と続いているが、後期高齢者では、「認知症」が17.1%、次いで「脳血管疾患」と「高齢による衰弱」が16.6%とその原因が異なっている。


(注)総数は、介護を要する者数10万対の数値 資料:厚生労働省「国民生活基礎調査」(平成22年)
高齢者になればなるほどさまざまな疾患が若いころとは違う頻度で、合併してくる。そのような状態を老年症候群と唱えている人がいる。当然疾患構造や対応の仕方も異なってくる。その中にCKDが潜んでいる可能性がある。当然余命への寄与の仕方も若いころとは異なる可能性があり、今後後期高齢者のCKDの余命への影響をより詳細に検討していく必要がある。

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