産業医が知っておくべきCOPDの知識 慶應義塾大学呼吸器内科 別役智子教授
2013-07-01 08:46
川村内科診療所
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2013年6月28日 ホテルグランドパレス
演題「産業医が知っておくべきCOPDの知識」
演者:慶應義塾大学呼吸器内科教授 別役智子先生
内容及び補足(含質疑応答)「NHKの試してガッテンで『恐怖の脳・骨・心臓ボロボロ病』として紹介されたCOPDはまだまだ国民に認知されている疾患ではない。実際、2005年度統計において推計550万人の潜在患者さんがいるが、そのうち治療を受けている患者算数は22.3万人で5%足らずに過ぎない。
世界的には1990年において死亡原因の6位に位置していたCOPDは2020年においては第3位に上昇すると考えられており、COPDの早期発見、予防、治療が必要である。

自覚症状としては、体動時の息切れと慢性の咳・痰であるが、高齢者においては、これらの症状は加齢現象として見逃されやすいということも考えられる。その上、COPDの疾患定義にある「不可逆性気道病変」が、治療不可能・困難な疾患といった位置づけで、一般開業医にも認識されている。近年、いろいろな薬剤が開発されてきており、早期診断、予防、治療が有効となってきているので、COPDについての啓蒙活動を、患者さんばかりでなく、一般の開業医にも啓蒙していく必要がある。
COPDの病態は、末梢気道である細気管支の気道炎症とそのリモデリングと肺胞の破壊による肺胞の接着の喪失からくる肺弾性収縮力の低下がもたらす気流制限である。この際、肺の直接ダメージから生じてくる肺癌ばかりでなく、マクロファージなどの細胞から放出されるIL-6、IL-1β、TNFαなどが虚血性心疾患、心不全、骨粗鬆症、糖尿病、耐糖能障害、貧血、鬱などの併存症を誘発していると考えられるようになってきた。
COPDの自然経過は、タバコの弊害に感受性があるかどうかでわかれるが、加齢とともに肺機能の指標である1秒率は低下してくる。しかし、何歳になっても禁煙がその変化の速度を弱めることができるので禁煙は重要な治療法の一つである。

治療においては、長時間作用型の抗コリン剤の他に長時間作用型のβ刺激薬、吸入ステロイドがあり、最近はそれらの劫財が開発され利用できるようになってきた。

これらの治療の基礎には、禁煙指導、インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの接種ばかりでなく、呼吸器リハビリテーションも重要な役割を担っている。
この肺機能の指標の一つである1秒率はCOPDのガイドラインの診断の基準の一つとして採用されているが、患者さんの日常状態を必ずしも反映しておらず、臨床現場においては6分間歩行距離が利用されている。
COPDの状態をチェックする質問票もCATというものが利用されるようになっている。
この問診票であるCATを利用して、572名のCOPD患者さんを対象にこほーと研究を行い併存症との関係などを調査した。1秒量では差が出なかったが、CATでは鬱病と逆流性食道炎において、有意な相関がみられた。
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