2013年10月8日 ホテルニューグランド
演題「COPD治療の現状と展望」
演者:横浜市立大学付属市民総合医療センター 金子 猛先生
内容及び補足(含質疑応答)「COPDの病態は肺胞の破壊と末梢気道の壁肥厚と分泌物増加による気流制限である。1990年における世界の死因の第6位であったが2020年には第3位になると考えられており、それ以外に4位が下部呼吸器感染症、5位が肺癌、7位に結核がランクインすると考えられており、呼吸器医の活躍場所は今度も増加すると考えられる。
日本においての死亡者数は2012年においては全体で9位、男性では8位に位置している。
2001年発表のNICE Studyおいて40歳以上の10.9%(男性16.4%、女性5.0%)に桐生閉塞を認め、喘息を除いたCOPD有病率は40歳以上の8.6%530万人、70歳以上では薬210万人ものCOPD罹患者がいると推計されている。非喫煙者においても受動喫煙などの影響から5.8%の罹患率である(出典:福地ら、NICE Study. 2001年)。
2011年における厚生労働省患者調査によると病院でCOPDと診断された患者数は22万出会い、受診していない人が500万人以上何時と推定され、多くの人がCOPDであることに気づいていないことになる。
COPDの有病率は喫煙者と喫煙経験者に多く、高齢になるほど高くなる。
喫煙者の15%程度がCOPDになると言われており、COPDになった人の肺機能である1秒量は下図のように変化していく。急激な肺機能低下の原因の多く、気道感染である。
COPDの重症度分類がGOLD(Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease)によってなされた。
この分類によって分けられた群での増悪や入院は、重症になるにつれ増加した。
逆に
増悪したかどうかでその後の変化を見てみると1年目で増悪しなかった人はその後も増悪する頻度は少なく、1年目で2回以上の増悪を認めた人は、より悪化しやすいのが現状であった。
増悪の予防としての禁煙は効果的なものである。禁煙を早い時期で行うことができれば、呼吸機能の改善も期待できる。
禁煙した際の変化を詳しく見てみると次の図のようになる。
COPDの治療ガイドラインが策定され、治療ガイドラインは以下のようになっている。
以前はSABA (Short-acting β2-agonist:短時間作用性β2刺激薬)やSAMA (Short-acting muscarinic antagonist:短時間作用性抗コリン薬)の使用が中心であったが、現在ではLAMA (Long-acting muscarinic antagonist:長時間作用性抗コリン薬)やLABA (Long-acting β2-agonist:長時間作用性β2刺激薬)の使用が中心となり、その上、LABA+ICS( Inhaled corticosteroids:吸入ステロイド)の合剤が使用されるようになってきており、その有効性も検証されてきた。
近年はいろいろな合剤間の比較が報告されているが、臨床結果の蓄積が待たれるところである。
薬理学的な機序もいろいろと解明されてきている。