2013年4月13日 神奈川保険医協会
演題「ちょっと最近の腹部画像診断」
演者:けいゆう病院放射線科部長 鈴木孝司先生
内容「CT検査やMR検査には造影剤を利用することがあり、その造影剤の副作用の頻度は(MR:CT)、嘔気・嘔吐、熱感、動悸(1%:3%)、呼吸障害、血圧低下、意識障害(0.01%:0.04%)、死亡(0.0001%:0.01%)であり、CTの造影剤に比べMRの造影剤の方が安全である。CTの造影剤の方が5倍量ほど使っていることも影響していると思われる。ただし、MRに使われるガドニウムの特異的な副作用として腎性全身性線維症(Nephrogenic Systemic Fibrosis)という疾患があり、特に腎不全患者さんにガドリニウムを投与した数日〜数か月後に志士の皮膚主張・発赤・硬化、四肢の関節拘縮、伸展位での固定が生じ、場合によっては死亡することもある状態があるので、腎機能が悪い人への投与には慎重に経過を見る必要がある。
ガドリニウム投与前後でT1強調画像でより差が明瞭になるため、利用されます。その他にSPIO(超常磁性酸化鉄)があります(鉄は通常肝臓のクッパ―細胞に取り込まれるのですが、異常な肝細胞から成る組織にはクッパ―細胞が存在しないので取り込まれません)。HCCのMR画像の特徴としては、T1強調画像で白く染まります(In phaseとOpposed phaseであまり変化が見られない場合には出血の可能性が強くなります)。
肝臓の腫瘤性病変で肝血管腫が強く疑われるもの以外はMRやCTをやる意味があり、肝機能障害が認めるものはやる必要があります。膵臓に関してはMRCPが造影剤を使わず撮影できるので、何らかの異常ある場合や疑われる場合には、病診連携質を通じて依頼していただければ、1時間あれば読影レポートを付けてお返しできます。
膵臓ののう胞性病変としては、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、粘液性のう胞腫瘍(MCN)、漿液性のう胞腫瘍(SCN)、充実性偽乳頭腫瘍(SPT)がある。卵巣腫瘍と同じように石灰化があると悪性の可能性が高い。SPTは若い女性が90%で10〜40歳で70%を占め、以前は悪性疾患は見られないとされていたが、最近男性で悪性例の報告がある。SCNは60歳前後の女性が多く、良性が多いが最近悪性例の報告もある。MCNは平均48歳で女性に多く発生し、多房性で、卵巣様間質を有いる。問題なのはMaligant potencialがあるので手術で取り除くべき疾患である。IPMNは他と異なり、男性に多く粘液産生性である。分岐型と、主膵管・主膵管と分岐型の混合型がある。分岐型は悪性である可能性が少なく、経過観察が主となるが、混合型や主膵管型は手術例の60%に悪性を認めているとの報告があり、手術を考慮する必要がある。腫瘤が3?以上、壁在結節+、主膵管拡張が6?以上は手術適応と考えている。