高血圧 対策
2013-02-12 16:53
川村内科診療所
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『血圧の治療をはじめると一生薬を飲まなければならないので飲みたくない』といったことをよくお聞きします。これは間違っています。
血管は血圧に負けると破れてしまうので、血圧に負けない強さで、収縮し続けなければいけないのです。収縮し続けると、血管は硬くなってしまいます。硬くなってしまった血管は、血圧が下がったときに収縮できなくて、血液の流れが滞って脳梗塞を起こします。ちょうどホースで水をまいている時に水の勢いが弱いときには、ホースの先端を押しつぶして、水に勢いをつけますよね。夜寝ているときに脱水になって頭に流れる血液量が減ったときには、ホースを尖端と同じように収縮して、血液の圧を上げて、脳細胞に血液を送ろうとします。このとき血管が硬くなっていると収縮できなくて、血管の圧を上げれず、脳梗塞となるのです。もっと硬くなっていたり、血管の収縮が強くなりすぎたときには、硬い血管は破れてしまいます(脳出血)。
従って、血圧は高い状態が続くことが良くないのです。今、血圧の薬は、非常にたくさんあり、しかも効果がよく、副作用も少ないものが多数あるので、必ず、自分に合う血圧の薬を見つけることができると思います。
それと、血圧を測る際に、多くの人は、朝と夕方、落ち着いた状況で、または、深呼吸などをして落ち着かせて、血圧を測っていませんか?いぜんは、前述のように測りましょうと、医者も指導してきました。しかし、これではいけないのです。例えば、パトカーが近くを走っているときには、車のスピードはあまり出しませんよね。けれど、事故が起こるのは、他の場所で、特にスピードを出しすぎたときに起こりやすくなるのですよね。つまり、血圧も、ストレスがあるときや緊張したときなどに、上がった血圧が、血管や心臓に対して負担をかけ、病気を起こさせるのです。つまり気をつけなければいけないのは、緊張したときやストレスがたまっているときの血圧の上昇なのです。ほとんどの場合には、血圧が上がっただけでは、症状は出ません。中には、私は血圧が上がったときには、頭痛や肩こりがする、といわれる方がいますが、その多くは、頭痛や肩こりを起こさせた原因があり、その原因のために血圧が上がっているのであって、血圧が上がったために、頭痛や肩こりが出現したのではないのです。色々な状況下で血圧を測り、高いときでも、150を超えないようにしたいものです。
常時、血圧が160を越えているような人は、まず、血圧の薬を飲んで、血圧を安定させ、それと平行して、自分の生活習慣の中で、血圧を上昇させている危険因子(仕事のストレス、塩分過剰摂取、運動不足、肥満、寝不足など)を改善していきましょう。この危険因子がコントロールされれば、薬の量を減らしたり、やめたりすることができます。
血圧が高くなる原因として、仕事のストレス、塩分の過剰摂取、運動不足、肥満、寝不足などの血圧が上がる生活上の習慣を持続していることが多いのです。これらのうち、悪さをしている因子を改善しない限り、薬を止めると、すぐに血圧が上がってきます。従って、薬を飲みつづけなければいけないことになります。つまり、薬を飲んでいるからやめられないのではなく、薬を止めると、血圧がすぐに上がってきて、血圧が高い状態が続くのが良くないため、薬を続けて飲まなければならないのです。薬を飲まないで、血圧が高い状態が続くことがよくないのです。
血圧が高い状態が続いて、血管壁が硬くなると、動脈の拡張や蛇行が生じてきます。そのほかに、血管壁の硬化だけでなく、血管内空の狭小化(狭心症、閉塞性動脈硬化症など)も生じてきます。血管内空の狭小化は、高血圧だけでも、生じてくるのですが、特に、糖尿病、高脂血症、喫煙などの危険因子が重なってくると、血管内腔がより細くなりやすくなり、場合によっては、完全に閉塞してしまいます(脳梗塞や心筋梗塞)。また、血管壁が硬くなってくると、降圧薬(血圧の薬)が効きにくくなってきますし、色々な臓器の機能障害も出てきます。血管壁が硬くなる前に、降圧薬を飲んで、血圧を下げましょう。そうする事によって、血管の硬化が予防できます。血管壁が硬くなる前に治療をはじめることが重要です。
血圧を測定する時間帯は、多くの医師が朝と夕方の落ち着いた状態の二点を薦めていますが、血圧が上昇したときに血管は切れるので、いろいろなときに血圧を測定することをお薦めします。
基準値:
望ましい血圧 収縮期血圧 120mmHg未満、拡張期血圧 80mmHg未満
正常血圧   収縮期血圧 130mmHg未満、拡張期血圧 85mmHg未満
正常高値血圧 収縮期血圧 140mmHg未満、拡張期血圧 90mmHg未満
高血圧    収縮期血圧 140mmHg以上、拡張期血圧 90mmHg以上
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