2013年10月11日 ホテルキャメロットジャパン
演題「骨粗鬆症」
演者:けいゆう病院副院長 鎌田修博先生
内容及び補足(含質疑応答)「骨粗鬆症の診断は以下のどちらかに該当する場合である。
(1)脆弱(ぜいじゃく)性骨折がある。
(2)脆弱性骨折はないが、骨密度が若い人の平均値(YAM)の70%未満、または脊椎X線検査で骨粗鬆化が認められる。
骨粗鬆症としての自覚症状はないので、骨折をして初めて自覚される疾患であり、骨折以前において検査で診断し、骨折予防の治療が大切になってくる。
診断の手掛かりとしては以下の三種類がある。
*骨粗鬆症の危険因子(骨折のリスク):高齢、女性、早期閉経、痩せ型、骨折歴(2〜4倍)、家族歴(親の大腿骨近医骨折歴:1.5〜2.3倍)、定栄養・運動不足、喫煙(1.3〜1.8倍)、飲酒(1.4〜1.7倍)、日照射不足
*続発性骨粗鬆症の既往歴:内分泌疾患、関節リウマチ、生活習慣病、慢性腎臓病、胃切除後、薬剤:糖質コルチコイド(1.7〜4.4倍)、ワルファリン使用歴
*症状および理学所見:腰背部痛、円背などの脊柱変形、身長低下(2?以上)、脊柱変形による心肺機能低下、逆流性食道炎
高齢になるに従いその頻度は増加してくるし、閉経後の女性に多数認められる。
ダイジェスト版
骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2011年版 p3
骨量を測定する方法としては、エックス線撮影や超音波を用いたものなどがあるが、
2012年度改訂版で診断基準が海外の学会での発表を念頭において、『YAMの70%以下または−2.5SD以下』と、−2.5SDの表記が付け足されたため、DEX法を使用することになってしまった。
骨粗鬆症があるかどうかを診断し、骨代謝に影響している薬剤があれば、可能であれば約一か月薬剤を中止した後に骨代謝マーカーを測定し、二次性のものがあるかどうかを判定し、治療薬物を決定していく流れとなる。
骨代謝マーカーには以下のものがある。
治療薬は近年いろいろなものが開発されて使用できるようになってきた。
ビスフォスフォネート製剤は破骨細胞の働きを強く抑えて骨密度を上昇させる薬で、毎日、週一回、四週に一回飲む薬と、四週に一回の注射薬がある。
選択的エストロゲン受賞体モジュレーター(SERM)製剤は、女性ホルモンであるエストロゲンと同じような働きをする骨吸収抑制薬であるが、上記ビスフォスフォネート製剤よりは効果が弱い。
副甲状腺ホルモン製剤は、骨吸収も少し上昇させるが、骨形成をより促進して骨量を増加させる薬で骨折している患者にも使用できる薬剤で一日一回自己注射する薬と週一回病院などで注射する薬がある。
カルシトニン製剤は、骨密度を上げる力は弱いが、骨吸収を抑え、骨の痛みを抑える効果もある。
ビタミンKは骨のたんぱく質の働きを高め、骨質を改善し、骨折を減少させるが、骨密度を上げる効果はほとんど見られない。
これらの治療薬の治療ばかりでなく、日常生活における運動は必須である。
しかし、近年筋力低下によるロコモティブシンドロームが問題となってきている。そこで簡単なチェックシートを配布し、啓蒙活動、早期発見、生活指導に生かそうと日本整形外科学会が中心となり活動している。
生活指導としてはいろいろな体操があるが、筋力がある程度ないと実施困難である体操が多い。
自分の外来では、片足立ちを勧めている。
参:レントゲンでの骨粗鬆症の診断