2014年3月3日 横浜ロイヤルパークホテル
演題「認知症を地域で支える −待つ医療から動く医療へ−」
演者:医療法人湘南メディカル湘南いなほクリニック 内門大丈先生
内容と補足「新刊158名(平均年齢79.3歳、男:女=66:92)のうちアルツハイマー病が54%、軽度認知機能障害MICが13%で、予約の新刊が一カ月待ちの状況であるが、以前に比べ、MICの受診者が増えている。
訪問診療で対応できたケースを紹介する。
?4年前から認知症と診断され、大腸がんが見つかり、非手術適応と診断され、どこも対応してもらえなかった。物忘れ外来を受診されていたのでその後往診診療で対応継続した。
?82歳のアルツハイマー病の患者で精神疾患のある息子との二人暮らし、母親に対する虐待の疑いがもたれていた。徘徊を契機に訪問診療を行うようになった。経過中、息子にたたかれ警察に保護を求めたこともある。肺炎を早期に見つけ入院で対応した。
病因で末治療では上記の人たちの対応は困難。
平塚市医師会は在宅医療機関情報の共有化、介護者サロンの立ち上げ、脳卒中と認知症研究会の開催、医師会在宅懇話会などを行っている。
現在在宅療養支援診療所の届け出た期間は12487ヶ所あるが、一名以上の診療を行っているところは10661ヶ所であり、見取りまで行っている機関はかなり減少する。
認知症患者のうち42%に高血圧、19%に糖尿病、48%に脂質異常症の合併があり、いろいろな合併症の内在が問題となり、内科としての対応が必要であることが少なくない。現実においては、認知症があることによって急変時に診てもらえる医療機関がかなり少なくなっているのが現状である。
認知症の段階の悪化としていくつかのパターンが想定される。
? 便秘→嘔吐→誤嚥性肺炎
? 下痢→脱水→尿路感染症
? 巻き爪→二次感染
? 漫然処方→電解質異常
? 転倒→骨折
? 介護者うつ→介護放棄
これらを改善していくためには病院や診療所で待つ医療ではなく、出かけて行って対応する動く医療(アウトリーチ)が重要である。