エジプトから発掘されたミイラの関節に尿酸塩が発見されており、紀元前から痛風はあったと考えられています。王侯貴族で痛風に悩まされた人は数多く、アレクサンダー大王、フランスのルイ14世、ミケランジェロ、レオナルド・ダ・ビンチ、ゲーテー、ニュートンなど数多くの人が、悩まされ続けた病気です。肉食恐竜であるティラノサウルスの化石も尿酸塩で障害を受けた跡があったという話もあります。
しかし、日本人の歴史に顔を出したのは、明治以降といわれています。ポルトガルの宣教師のルイス・フロイスや明治の初めに日本に医学を広めたドイツ医師ベルツも『日本には痛風がない』と記録しています。その後の明治時代から、痛風の記載がみられるようになり、1960年代になってから急増し、平成23年の厚生労働省の統計によると、推計患者数は11万4千人、予備軍である高尿酸血症はその約50〜60倍と考えられています。
風があたっても激烈に痛い痛風発作は、負担がかかりやすく、冷えやすい部位に起こりやすく、足の親指の付け根、くるぶし、アキレス腱、足の甲、足関節、膝、肘、手首、手の指などが、好発部位です。
お酒を飲みすぎたり、動きすぎたりした翌日の夜明け前から早朝に、痛みが始まり、2時間前後で関節は熱をもって赤く腫れてきて、痛みが増強してきます。
人によってはこの変化が起きる前に、なんとなく関節が重く感じたり、違和感を自覚したりする『前兆期』を感じる人もいます。特に治療しなくても7〜10日で自然に良くなります。
痛風発作は尿酸値の上昇とともに、起きやすくなります。
痛風発作はどのようにして起こるか見てみましょう。
血液中に溶けている尿酸が高濃度になると、関節内で尿酸結晶となって関節膜にくっつきます。この結晶がストレス、激しい運動、暴飲暴食による尿酸値の急激な変動により剥がれて、関節の中に落ちます。トゲトゲのある結晶なので、刺激を与えるため、白血球が寄ってきてこの結晶を食べ処理する際の反応が、発作となるのです。
したがって、結晶が多くなる暴飲暴食、結晶の結合が緩くなる、薬剤による尿酸値の急激な低下や、結晶を落としやすくするストレスや激しい運動を避けることが予防になります。普段の歩き方で、一番負担をかけているところに発作が起きやすく、多くの人が利き足の親指の付け根に発作が起きています。後ろ足に重心をかける歩き方をして、つま先で地面をけらないようにすると、発作が起こる頻度が減ります。
https://243sageru.com/toranomaki/first/index.html
尿酸という物質は、6.0mg/dL以上になるとに溶けないため、結晶化しやすくなります。血液は流れているので、かき混ぜて強引に溶かしている状況なので6.0を超えた濃度になりますが、関節の中は、液体が流れていないので、6.0 mg/dL以上になると尿酸結晶が増えていきます。
尿酸はプリン体というものが体で代謝されてできるものなので、プリンタ意を多く含むものを沢山取れば、血液の尿酸値が上がって危険な状態となります。
『ビールを含むアルコールが悪い』、『ビールに含まれる尿酸値はそれほど高くないので、ビールのつまみが悪い』といろいろと世間では言われています。
確かに、お酒のつまみとして食べるもののうち、プリン体を多く含む肉、内臓もの、魚(特に干し魚)などの食べ物を多く食べることは危険です。
http://www.tufu.or.jp/pdf/purine_food.pdf
アルコールも多く飲むと発作が出やすくなるので、プリンタ意が少ないアルコールを飲む方が良いでしょう。
http://www.tufu.or.jp/gout/gout4/73.html
疲れているときや、寒い時などは、いつもよりもトイレが近くなることがあると思います。この時は気をつけてください。トイレが近いということは、血液の水分量が減るので、普段よりも、尿酸の値が上昇しやすくなるし、酔いやすくなっています。トイレが近い時は、アルコールの量を控えましょう。
高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第2版 2012年追補ダイジェスト版
http://www.tukaku.jp/wp-content/uploads/2013/06/tufu-GL2.pdf
http://www.osaka-u.ac.jp/ja/news/ResearchRelease/2013/03/20130318_1