PI3K(phosphoinositde 3-kinase)-Akt経路は、多くの癌の発生・進展にかかわると考えられているシグナル伝達経路で、多くの癌腫で亢進が認められている。PI3K-Akt経路はセリン・スレオニンキナーゼであるmTOR(mammalian target of rapamycin)を開始、細胞増殖に重要な役割を演ずる蛋白質の合成・翻訳にかかわる。
メトホルミン投与患者において癌罹患リスクが少ないことが報告され、6コホート、2ランダム化比較試験、2症例対照研究を統合したメタアナリシスで、メトホルミン使用の癌罹患リスクは0.67倍であり、大腸癌で0.68、肝臓癌で0.20、肺癌で0.67とリスク減少と関連していた。(Noto H, Goto A, Tsujimoto T, Noda M (2012) Cancer risk in diabetic patients treated with metformin: a systematic review and meta-analysis. PLoS One 7:e33411)。
機序としては、AMPキナーゼを活性化することによりmTORの抑制し、タンパク合成・細胞周期回転を抑制し、腫瘍抑制作用を持つと考えられている。
(Cancer Res 67: 10804-10812、Med Oncol 29:1314-1327)