2018年4月24日
演題「学校心臓病検診について」
演者:横浜市医師会学校医部会 柴田利満 先生
場所:横浜市救急医療センター
内容及び補足「
学校心臓病検診の目的:
心臓疾患を早期に発見し適切に治療、管理し児童生徒のQOLを高めること
突然死の予防
2017年度は59463名の心電図検査を行い陽性瞼1762名3%、心電図再判読委員会やホットラインで二次検査を受けたものが900名1.5%、精検不要と判断したものが813名であり、要精査のうち医療機関を受診したものが797名88.6%であった。しかし、未受診者が103名11.4%もいた。
二次献金:要二次精検者は横浜市内26の二次検診医療機関を受診する
心臓検診ホットライン:一次検診で各学校にて12誘導心電図を記録直後に、下記所見があるものは心臓検診管理委員会に報告する
QT延長、完全房室ブロック、心室頻拍(3連発以上)、極端な徐脈(30/分以下)、区どの右室負荷
心電図を直ちに判読し、二次検診医療機関に紹介受診とする
突然死:
チアノーゼ性心疾患末期・重症例
アイゼンメンゲル症候群
心臓術後
大動脈弁狭窄
川崎病(冠病変)
心筋症
心筋炎
特発性肺動脈性肺高血圧症(IPAH)
完全房室ブロック
洞不全症候群
心室頻拍・細動
QT延長症候群
肥大型心筋症:
若年者の肥大型心筋症はうっ血性心不全など呈さないので、外観状無症状である
若年者の肥大型心筋症は、運動中の心事故が多い。運動中に突然死やニアミスを起こす。
QT延長症候群の心電図
QT延長症候群の心電図は突然Torsade de pointesから心室細動となる危険があり、見落としてはいけない心電図所見である。
心臓検診での重要疾患:
小学1年:心房中隔欠損症
中学・高校:肥大型心筋症、拡張型心筋症、特発性肺動脈性肺高血圧症、QT延長症候群、心室期外収縮(→心室頻拍)、WPW症候群、房室ブロック、左脚ブロック、上室頻拍、洞不全症候群
最近は心房中隔欠損症の治療として、カテーテルによる閉鎖術がよくおこなわれている。
平成28年度の学校心臓病検診の結果
心房中隔欠損症9名(小学1年7名、中学1年2名)
管理区分E禁(強い運動は可、クラブ活動禁)以上1名
管理区分D禁(中等度の運動は可、クラブ活動禁):WPW症候群・頻拍発作疑い
参:指導区分
要管理A:在宅医療・入院が必要
要管理B:登校はできるが運動は不可
要管理C:「同年齢の平均的児童生徒にとっての」軽い運動には参加可
要管理D:「同年齢の平均的児童生徒にとっての」中等度の運動には参加可
要管理E:「同年齢の平均的児童生徒にとっての」強い運動には参加可
軽い運動:同年齢の平均的児童生徒にとってほとんど息がはずまない程度の運動
中等度の運動:同年齢の平均的児童生徒にとって少し息がはずむが息苦しくない程度の運動
強い運動:同年齢の平均的児童生徒にとって息がはずみ、息苦しさを感じるほどの運動