心臓インターベンション治療の進歩 東海大学 伊苅裕二先生
2013-04-15 08:57
川村内科診療所
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2013年4月12日 ベイシェラトンホテル&タワーズ
演題「インターベンション治療の進歩」
演者:東海大学医学部付属病院循環器内科教授 伊苅裕二先生
内容「WHOの2008年の死因統計で虚血性心疾患(12.8%)、脳血管障害(10.8%)、下気道肺感染症(6.1%)、慢性閉塞性肺疾患(5.8%)、感染性下痢(4.3%)、HIV/AIDS(3.1%)、肺癌(2.4%)、結核(2.4%)、糖尿病(2.2%)、事故死(2.1%)となっており、一位の虚血性心疾患の治療が大事である。内科的な治療として心臓カテーテル治療がある。1929年ドイツの泌尿器科医Forssmanが尿道カテーテルを自分の血管に入れ撮影したところ心臓にまでカテーテルが入っていたことが、この治療の走りである(だたし、このことがもとで病院を首になった)。のちにこのことが評価され1956年にノーベル賞をもらっている。
1958年小児科医のStonesが心臓の冠動脈が出ている場所であるValsalva洞にカテ先を置き、造影していた際に、冠動脈にカテ先が入り込んで心停止になったが、この事故がもとで、心臓の血管を造営するという発想が出てきた。
Judkinsがカテの形をいろいろ工夫し、世界的に爆発的に行われる検査となった。
1977年Gruentzigがカテ先にバルーンをつけそれを膨らませることにより細くなった血管を押し広げる治療PTCAを編み出した。
PalmazとSchatzが拡げた冠動脈にステントを留置する方法を開発し、Faroticoがステントの再狭窄を減らすために血管内皮がステントの中を分厚く覆わないように薬剤が持続的にステントから流出する薬剤流出ステント(Drug Eluting Stent:DES)を開発した。初めは鼠径部(股の所)からカテーテルを入れていたが、止血に時間が非常にかかることと患者さんから手からやってほしい要望が重なったので、上腕動脈から行う方法を実施することになった(最近ヨーロッパ心臓病学会が橈骨動脈:手首の親指の方にある動脈からの心臓カテーテル検査・治療の方が大腿動脈:鼠径部の動脈のアプローチよりも安全であるとのコメントを出した)。その際、今までのJudkinsのカテーテルだとうまく左冠動脈に入らず、Ikariカテーテルを考案することになった。台湾の先生が、Ikariカテーテルで右冠動脈も簡単に造営できることを発表してくれ、Ikariカテーテルの世界的な売り上げが増えた。
Ikariカテーテル
その後治療は進歩し、冠動脈の狭窄部位の血栓を吸引しながら血栓を減らしていく方法が行われるようになったが、最近はエキシマレーザーで生殖を流しながら行うと、血栓が綺麗に水になり、吸引する必要がないことがわかってきた。
カテーテル治療として現在東海大学で行っているものとしては以下のものがある。
頸動脈狭窄症例のステント挿入などの治療
高血圧患者に対する腎臓脈の除神経治療
EDのうち動脈性のも
慢性血栓閉塞性肺高血圧(CTEPH)
僧房弁交連切開術
ASD(心房中隔欠損症)のカテーテルによる穴の閉鎖術
経皮的大動脈弁置換術
最近は19G(ゲージ)の細いカテーテルを開発しており、このカテを使って行った場合4分の圧迫止血で動脈のカテ挿入部の出血を完全に止めることができるのだが、カテが高価すぎて日常診療で利用するためには、さらなる工夫が必要である。
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