遺伝性ニューロパチー 鹿児島大学大学院 高嶋博教授
2013-06-10 08:48
川村内科診療所
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演題「遺伝性ニューロパチーを理解する「分類・診断・病態」
演者:鹿児島大学大学院医歯学総合研究科神経内科・老年病学教授 高嶋博先生
内容及び補足「遺伝性ニューロパチーのもっとも代表的な疾患はCharcot-Marie-Tooth病(CMT)で,遺伝性運動感覚性ニューロパチー(hereditary motor sensory neuropathy:HMSN)とも表現される。近縁疾患としては,運動神経障害のみの遺伝性運動性ニューロパチー(hereditary motor neuropathy:HMN)や感覚障害のみの遺伝性感覚性ニューロパチー(hereditary sensory neuropathy:HSN),感覚神経と自律神経が障害される遺伝性感覚・自律神経性ニューロパチー(hereditary sensory and autonomic neuropathy:HSAN)などがある。これらは臨床的,遺伝学的に多くの型に分けられ,少なくとも30以上の原因遺伝子が報告されている。
CMTは通常,少年期〜中年期に,四肢遠位筋優位の進行性筋萎縮・筋力低下で発症するが,原因遺伝子の種類や変異部位によりさまざまで,発症時期の幅は広い。臨床症状は,大腿を高く上げて歩く鶏歩や,逆シャンペンボトル様下たい筋萎縮,凹足(pes cavus)などにより特徴づけられる。さらに,進行により足趾が屈曲し槌状趾(hammer toe)を形成することもある。上肢は手の骨間筋や母指球筋の萎縮が目立つ。正中神経の障害により母指球筋が萎縮し猿手(ape hand),また尺骨神経障害のため骨間筋が萎縮し鷲手(claw hand)となる。
感覚障害を発症初期に自覚することは少ないが,診察すると手袋靴下型感覚消失や振動覚消失などが認められる。これらの症状は左右対称性で,腱反射なども左右対称性に低下または消失する。
CMTは,遺伝形式および電気生理学的に分類され,正中神経の神経伝導速度が38m/秒以下を脱髄型,神経伝導速度が38m/秒以上を軸索型と分類する。また,電気生理学的に脱髄型とも軸索型とも分類できないタイプを中間型としている。
 脱髄型で常染色体優性遺伝(autosomal dominant:AD)のものをCMT1,常染色体劣性遺伝(autosomal recessive:AR)のものをCMT4,軸索型はADもARもCMT2に分類される。CMT3は,おおよそ2歳以下発症のDejerine-Sottas症候群(DSS)と同義であるが,CMT3の名称はあまり使用されていない。X染色体連鎖性のCMTはCMTXに分類される。
診断は遺伝子検索で行われるが、低コスト、短時間での検査を実現化するためにマイクロアレイチップをより進化させた遺伝子チップにより診断を確立し、遺伝子異常を調べるコストと時間が飛躍的に縮小し、実際、患者1例あたりのスクリーニングの費用は140万円から7万円に節約できた。
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