Yomi Dr. 第20回
『トイレのふた閉めて...ウイルス性胃腸炎を防ぐ』
が現在掲載されています。
Yomi Dr. 第19回
『私も喘息発作に注意してます』
は以下の内容です。
幼少期に小児喘息(ぜんそく)を患い、不摂生な生活をしていた浪人時代まで、年数回の喘息発作で眠れない夜をすごしました。
学生時代に喘息発作で病院にかかった際に、「なぜひどいときに、来なかったの」と言われた時には、ムッとしました。
「喘息発作の酷(ひど)い時には、動くことも、普通に話すことも苦しくてできなくなる。やっと動けるようになって、病院を受診していることを、この先生は、わかっていないんだ」という現実が理解できました。
両親と一緒に住んでいれば、夜中でも、救急病院などに連れて行ってもらうこともできるのでしょうが、一人暮らしであれば、救急車にさえ、電話できないぐらい息苦しい発作に見舞われることもあるのです。
喘息の患者さんには、自分が喘息を持っていることをお話ししてから、患者さんの現在の状態、これから行う治療方法についてお話しするようにしています。
発作がひどい時には、どういう対応をすればよいかについては事前に考え、身の回りの人に対応をお願いしておくことも必要でしょう。現在は、携帯電話やスマートフォンから、簡単にメッセージを送ることができるので、事前に文章を入れておいて、発作時に送信するという方法もあると思います。
発作を防ぐ自己管理も必要です。
ストレスがある時、体調が悪い時、季節の変わり目で喘息発作は起きやすくなります。しかも、そういった時に、アルコールを飲んだり、運動をしたりするとかなりひどい発作になります。
大きく息を吸って、勢い良く息を吐いてみてください。いつもの状態と違って、息が吐きづらい状況になっていると、気道が少し過敏になっている可能性があります。
その際に、ピュー、ヒューといった笛のような音が聞こえるようなら、軽い喘息の発作になっているのです。
こうなっている場合には、喘息の治療を受けたほうが良いでしょう。
「風邪は万病のもと」と言われますが、喘息を患ったことのある人にとっては、「風邪は喘息発作のきっかけとなるもの」です。のどの痛みだけであればよいのですが、咳(せき)が続いていると、気管の表面の細胞が傷み、その奥の神経細胞がむき出しになってしまうと、ちょっとした刺激が咳き込みを誘発し、喘息発作になってしまいます。
一般的には、痛み止めといわれる消炎鎮痛薬は、「アスピリン喘息」を誘発する危険性がありますので、喘息の患者さんには、処方されません。
実際自分も、顔面神経麻痺(まひ)になった際、消炎鎮痛目的で処方された薬でアスピリン喘息になり、1週間入院となりました。
この時飲んだ薬は、その後飲んでいませんが、他の痛み止め(2種類)は、大丈夫なので、時々頭痛がひどい時に使っていますが、発作は出ていません。ただし体調が悪い時に飲むと少し変になったことがあるので、風邪をひいて咳が出ているときは飲まないようにしています。
喘息の患者さんは、どの消炎鎮痛薬だと大丈夫かを、かかりつけの先生と探しておくとよいでしょう。やみくもに飲むと危険なので必ず医師の指導のもとに飲んでください。
ただし、いつもは大丈夫でも、先ほど述べたように、咳が続いているときには、避けた方が良いでしょう。
発作の予防としては、気管の刺激を少なくすることになります。外出時、寝るときにマスクをすることは、かなり有効です。
加湿器もよいのですが、湿気がもとでカビが生えてしまい、かえって発作がひどくなったことがありました。結露ができないように気をつけていたのですが、今度は、加湿器の掃除をこまめにやっていなかったために、加湿器の中にカビが生えて、結局、加湿器を捨ててしまうことになりました。
気管を広げる薬の吸入のやり過ぎで、死亡例が続いた時がありました。近年喘息の薬や治療方法の進歩は目覚ましく、ここ数年、喘息死の患者さんがかなり減少してきています。
喘息発作で気管や肺の損傷をできるだけすくなくするばかりでなく、発作が起こりにくくすることも必要です。
自覚的な発作の状態になっていなくても、慢性的に気管が障害を受けている人がいることもわかってきました。
発作が出ても軽いから様子を見ようと考えないで、喘息を専門に診ている先生の病院を一度受診され、今後の治療について相談されるとよいと思います。